インプラントの医療事故

インプラントはまだ発展途上で、多数の医療事故が報告されている、というのが現実です。

 

その深刻さは増しており、NHKのクローズアップ現代でも特集されたほどです。

NHKのホームページで、そのときの番組紹介を見ることができます。

→2012年1月18日放送 クローズアップ現代の放送内容はこちら(NHKのサイトへ移動します)

 

2007年には、ついに死亡事故も起きてしまいました。

これは、アゴの骨に穴をあけるときに、誤って喉の血管を切ってしまったことによる出血多量だとされています。

 

また、アゴの骨周辺には神経がたくさん通っています。誤ってそれを傷つけると、顔の表情を動かせなくなる事故につながります。

「日本顎顔面インプラント学会」の調査によると、2009〜11年の3年間だけで、神経麻痺を引き起こす医療事故が158件確認されているとのことです。上アゴの骨を貫通してしまうという重大事故も63件報告されています。

 

前のページでも述べたように、インプラントは外科なのです。

もしこのような事故が起こった場合でもすぐに処置をできる体制と設備がなくてはなりません。

つまり、一般的な街の開業歯科医では、かなり無理のある医療行為だと言えるでしょう。

 

インプラントに必要なのは、外科の技量だけではありません。内科の知見もなければなりません。

再び「日本顎顔面インプラント学会」の調査によれば、骨粗しょう症の治療薬の影響などで、インプラントをした箇所の骨が壊死してしまったという事例が10件報告されています。

 

インプラントの事前カウンセリングと事後経過においては、内科の知見も必要となるのです。

患者の持病や、その服用薬などを理解していなければなりません。

 

しかし歯科医側にそのような認識が薄いので、内科的なカウンセリングの無いまま、すぐにインプラントをやってしまうという未熟な歯科医が多いというのが現実なのです。

 

いかがでしょうか。ここまで読んでいただくと、インプラントがいかにハイリスクかがご理解いただけると思います。

だからといって、インプラントを全否定をするわけではありません。

 

しっかりとした設備と技量、外科・内科との連携、実績、これらをよく吟味して、信頼できるところに頼むようにしていただきたい、というのが、歯科医としての私の願いです。